谷三十郎てきな生活

なりきって生活するのはとてつもなく大変で楽しい

谷三十郎、いつもありがとう

Twitterで「谷三十郎」をやり出して、もう2年か3年が経った。これは飽き性な私にとって、とてつもなく長い期間である。

 

そんな私はもちろん三十郎さんではないし、彼の遺族というわけでもない。言うなればなんの変哲もない、新選組がとっても大好きな一人の男なのです。

 

私は新選組がとっても大好きだ! まず浅葱色のだんだらといい、黒装束といい、制服がきっちり決まってるのが良い。

ずらっと並んだ時の統率感。そして、そこから溢れかえってしまうばかりの各々の濃ゆいキャラクター! 今や新選組のイラストなんかを見ると即座に「この人が土方だな」「この人は沖田っぽい顔をした藤堂だな」とわかるほどである。

 

では、私が名乗ってる「谷三十郎」はというと、日本中の誰も、顔だけで判断することは不可能である。もちろん、槍を持っていて原田左之助より地味だったり、酒を持っていて芹沢鴨より細身だったりするとそいつが「谷三十郎」の可能性が高い。

しかし肩から上だけの集合絵になると、もはや100%探し出すことは不可能だろう。

 

そんな谷三十郎さんだが、新選組では結構小物になりがち。弟を養子縁組にして威張り散らしたから、組では嫌われていたというのが通説だ。

そもそも小物が好きな私は、ここで彼を好きになった。

そして調べていく上で、彼の兄弟や遺族が誰も彼を悪く言ってないことも「好き」に拍車をかけた。

 

つまり彼は、小物として語られてるけどもしかすると、それなりに人物のできた人だったんじゃなかったか。

「威張り散らす」という表現でピタリと当てはまる人間を、私はドラマや漫画などの創作以外では見たことがない。現実では自分が「威張っている」という自覚がないし、その人を「威張っている」と思う時は大抵、自分のコンプレックスからくるプライドがそう見せているからだ。

 

たしかに彼の家は当時にしては結構いいとこだ。でもお家断絶されているわけだし、血筋を誇るなら何も有象無象の浪人たちが集まる新選組で、しかもそのトップに養子縁組なんてしなくて良いのである。

すなわち後から入ってきたのに、養子縁組をして出世したことに対して誰かが「威張っている」とイラついたのが真相なんじゃないだろうか。

 

周りは「血筋がなんだ、俺たちゃ腕でのしあがるのよ」という若者たち。

その幹部たちは江戸の頃から親しいグループ。

そして尊王攘夷という思想の下につどったグループ。

 

やられ役の小物として描かれる谷三十郎には、そのどこにも入れない孤独と哀愁を、たしかに感じるのである。

養子縁組の理由も、ひょっとしたら根っこはそういうとこなのかもしれない。

 

そんな谷三十郎さん、いつも名前を使わせてもらってありがとう。主役映画は無理でも、脇役とはいえいい味出してる映画、待ってます。